明治神宮の出現/山口輝臣
なんか真面目そう、いや実際真面目な研究書なのですが、中身は具体的検証に基づいており、わかりやすくするする読めます。勿論思想的に偏ったりしていないし。日本で一番初詣の人出が多い場所、相撲取りが手数入り(でずいり)するところ、外苑にはヤクルトの本拠地神宮球場とか絵画館とか持ってるところ、明治神宮。その成り立ちを詳しく解明してくれます。なぜ、作られたのか、なぜ、あの場所なのか、内苑と外苑があるのはなぜか。
そもそもは、明治天皇の死を悼み、明治天皇を讃え記念する何かを、という国民のさまざまな声が発端ではあったらしい。最初はわかりやすく、お墓…陵墓を東京に!という話だったのが、陵墓は京都に造られることになり、それでは東京にも何か記念になるものを、美術館かな、公園かな、いやいや…と辿り着いたのが「神社」であったという。神社というのは伊勢神宮とか出雲大社とか、むかーしからの神様がいて…という固定観念と、大正に入ってから出来た、明治天皇と昭憲皇太后を祀る明治神宮っていったいどう繋がるのか?そんな経緯と、そこからのまた紆余曲折など。面白かったです。明治神宮と、あと靖国神社という、近代に入ってからの東京の神社ふたつの対比などもあり。