鬼平犯科帳 22 特別長編 迷路/池波正太郎

いま最後4冊をまとめて感想書いているのでアレですが、この巻が一番の傑作だと思いました。全編にわたる緊張感がたまらない。鬼平の魅力と、部下たち、密偵たちとの厚い信頼の揺るぎなさが、素晴らしいのですよ。ここまで20冊以上読んできたがゆえに登場人物それぞれの心情がこれまたよくわかって、もう。最後、平蔵が役宅に戻ってくるところで、泣けた。
鬼平に私怨を持つ正体を明かさぬ敵が、鬼平本人だけでなく関係者を次々に襲って行く。平蔵は自分のせいで罪のない人間が殺されるのが辛くてたまらないし、お上は平蔵を解雇すれば殺人がおさまるのではと動くし。ほんのわずかな糸口から、事件は解決に向かうのだけど、いやー、魅せます。面白かった。