ぐるぐるまわるすべり台/中村航

ぐるぐるまわるすべり台 (文春文庫)
表題作のあらすじ
「僕は大学を辞め、塾講師をする傍ら、バンドのメンバーを募集した。“熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集”そんなうたい文句に集まったロックな面々。ボーカル志望の中浜に自らの分身を見た瞬間、僕の中で新たな物語が始まった」
まあそういう。ワカモノの話。テーマ曲?はビートルズのHelter Skelter。塾の生徒であるちょっと変わった中学生「ヨシモク」が話のアクセント。
テンポがよく、文体も軽くなめらか。読んでいて気になるぎこちなさみたいなのはなく、まあ達者な印象だった。解説が真心の桜井さんで、その帯が気になって読んでみたようなものでした。桜井さん言ってるような、「ロック」(狭義に軽くとらえたとしても)な小説…かなあ。音楽がどっぷりはまる・流れる小説、ってんでもなかったな。
同時収録作は、表題作の裏側。集まってくるバンドのメンバーのうち、あまり語られなかった方の二人が紹介される。こっちの方が短編として面白かったな。30代半ばくらいの作家さんか。大学の授業(黄金比)、もしくは会社での講習(TQC)、なんていうのの内容がものすごく具体的に出てきて、その理系っぽさと理屈っぽさは結構好みだ。