神々の食/池澤夏樹  写真 垂見健吾

神々の食 (文春文庫)
池澤夏樹が沖縄で暮らしていた頃、飛行機の機内誌で連載していた沖縄の「食」に関するエッセイ。ハワイ、沖縄、と移住して、そのあとヨーロッパに住んだりしている池澤さんは、その土地に謙虚に臨む。言葉や風習について新参者が語るのはおこがましいけれど、「食」ならば、実際に食べて、伝えることならば、と選ばれたテーマらしい。
朝の電車向きだった。帰りに読むとおなかがぐーぐー鳴って大変…。泡盛や豆腐よう、ゴーヤなどの馴染みの沖縄食材たちに加え、そてつの味噌、みき、という飲み物、きっぺいという柑橘類のお菓子などなど、それを栽培する人もしくは捕獲する人、製造する人を訪ね、見て聞いて食べて、一編一編綴られている。アイスクリンを売る美少女とか、新しい栽培品目であるアセロラや沖縄コーヒーの話など面白い。先にも書いたけれど、文章の品の良さと謙虚さが、ありがち「食の紀行文」とはちがって、好きだ。
たった一度行っただけで何がわかっているとも言えないけれど、沖縄は好き。東京で食べる沖縄料理もとても好き。というわけで沖縄料理食べたくなっております。誰かー!