世界の果てのビートルズ/ミカエル・ニエミ 訳 岩本正恵

世界の果てのビートルズ 新潮クレスト・ブックス
スウェーデンの大ベストセラーだそうです。スウェーデンと云っても小洒落たストックホルムではなく、北部の、雪に埋もれた、フィンランドとの国境地帯トーネダーレンでの「ぼく」の青春期。かなり幼い頃の思い出から、「ビートルズのロックンロール・ミュージック」に衝撃を受け、へったくそなバンドを始めてセックスにも興味を抱く思春期までを短編で綴る。各編にいくつかのエピソードを取り上げて説明する、という感じだけど、暴力とか排泄とか酒とかも絡んで、荒い。粗野。ひりひりする。閉塞感や先祖から云々のしがらみのようなものは日本のムラ社会と近そうだけれど、そこに明けない夜や凍り付くアンプやサウナや密造酒が入り込んで、遠い遠い国の1960年代の青春が赤裸々に皮肉に語られる。真冬に読んだので余計沁みた…かも。
序章がインパクト強すぎ。一気に極寒の地へ意識が持って行かれた。本編は語り口は同じなのだけれどまた別な感じで。青臭いのと、たまに霊的なものが入り込んでくるのは鼻につくけれど、荒削りなのはそんなにいやじゃなかったです。
あとこれいしいしんじさんが勧めてました。それで買ったんだった(読むまで間が空いて忘れてた)。