ヨーロッパ退屈日記/伊丹十三

ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)
面白かった。とても。名著の文庫化、ということですが、伊丹さんが文章うまいのは知っていたけれど、こんなに洒脱だとは。そうして商業デザイナーしていたというのも聞いたことあった気がするけれど、こんなにイラストも上手だとは。初版が昭和40年だというのに、「ヨーロッパとは」を書いてこんなに古くならないとはいったいどういうことなんだ。ていうかこの時代から普通にエルメス、グッチについて語れるのがすごいのか。エラソーなんですけど、偉いので、もう構わない、という感じです。
「象のブックエンドごっこ」の挿話があまりに気に入ったのでそういう絵を描きたくなる。あとスパゲッティの食べ方講座はいろんなところで引用を見てたけど、原典これかあ、とか。処女作にして代表作、というのはご本人にとっては気に入らない評価だったのかもしれないけれど、いやー、面白かったです。