珠玉/開高健

ISBN:4167127113
開高健の絶筆だそうです。宝石を主題にした3編1組。本にするにはボリュームが小さいのだけれど、なんとか出したかったんだろうな、字が大きくて余白が多い苦しい字組が最初目に付いたのですが…面白かったのでよいです。男性一人称で、まるで私小説的・自分のことを書いたエッセイなのかとも思うけれど、小説(なのだよな?)。30年前、行きつけだった汐留のバーで出会った常連客の船医。彼の家で見せてもらったアクアマリン。もしくは渋谷の中華料理店で、ふとした小説書きの「触媒」となりかけたガーネット。六本木で衝動買いしたムーンストーンと若い愛人。開高健っていうと、勝手に、もっと力があり余っているイメージを持っていたのだけど、これはいい感じに枯れているような。味わい深い1冊でした。
全然似てないはずなのに、この本のエピソードからヘミングウェイを連想したら…なんか解説者がもっとしっかりそんなこと書いてたので割愛。