流星ワゴン/重松清

流星ワゴン (講談社文庫)
なんか、沁みました。薦めてくれた方々、ありがとう。やっぱり、やるせないというか痛いのだけどね。橋本さん親子を突き詰めて考えたりすると、かなり。途中何度も苦しくなるし、つらいし、38歳のリストラされたお父さんである主人公も「疲れた」とつぶやいて。結局人は過去を変えることは出来ない、振り返ることしか出来ない。もしああしてたら、こうしてれば、「たられば」を繰り返して。バックトゥーザフューチャーはやっぱり夢物語じゃないか。いやこの流星ワゴンも充分夢物語なんだけど。
変えられない未来と別のところで、3組の父と子が、それぞれ不器用に、でもナントカしたいと足掻く姿が一番残った感じがする。いい話。ちゃんと希望のある結末。だけどな。思い直すとやっぱりちょっと辛かった。だって、主人公は、何か間違ったことをしたわけじゃなかったんじゃないか。要所要所で、たられば、どっちに転んだとしても変わらなかった判断だとか、純粋に、良かれと思って選んだ言葉だとか。それが、「違った」とつきつけられたところで、いったいどうすればいいの。今後、全ての選択に何かが賭けられていると思わなくちゃいけないの。見て見ぬ振りと、実際見えてるものと見えてないもの、自分で本当に判断できるのだろうか。出来ると信じて、そう生きなくちゃいけないというのが正論?