本の話

暇さえあれば活字。という人間が長く本屋さんで働けていたのは幸運だった。昨春リストラされたのだけど、やはり今でも思い出すと幸せだったと思うのです。その本屋さんの奥は出版社だったので(特殊だよなあ)本の編集を手伝ったりもした。本の奥付に「編集協力者」として名前が載った。それってずっとずっと残るから。日本全国どのこ本屋さんでも、その本の奥付の何行目かに自分の名前が載っているという。
そういえば、そのあと今度は書き手の立場で携わった本には、奥付に共同執筆者として経歴付で名前が載った。ワタシの本名をググったら、その本の情報が一番たくさん引っ掛かる。それも嬉しかったのだけれど、そっちの方がオオゴトなんだけれど、でもなぜだか「最初」に奥付に載ったときのほうが嬉しかったという記憶。
そして今日はABCに、本の営業さんとして出かける。前に納品した本が売れたというので、請求書を持って、新たに納品する本も抱えて。売り歩いて?いるのはおととしの建築展覧会のカタログ。矢萩喜従郎さんにお願いしてかっこよくデザインしてもらった。展覧会は予想外に人も入ったのだけれど、作りすぎたカタログはまだまだ残っている。ワタシともう1人くらいしか販売管理出来る人間がいないので、本屋時代のワタシのツテなどで、細々と販売してもらっている。納品もワタシが紙袋を抱えて出かけて行きます。
構成や編集も考え、何ページにもわたる説明を力入れて書いたこのカタログでは、ちょこっとしか名前がない。手作業で、手弁当で作って行ったカタログで、奥付のところでちょっと遠慮してしまった。いろいろ理由はあったのだけれど「載せないで、いいです」とか言ってしまった。これはちょっと後悔してる。だってこのカタログで一番文章書いたのワタシだったのに。名前はちいさく、「カタログ担当」として載っている。自分でいい、と言ってしまったので、勿論しょうがないんだけど。
ABC六本木店で担当者さんとやりとりをして、そのあと店内をふらふら彷徨って、気づいたら文庫を3冊抱えていた。おかしいな。でも幸せ。本屋に行くとなんとなくむずむずしてしまって。たぶんワタシにしっぽがあったら、嬉しそうにぶんぶんぶんぶん振りながら本屋を徘徊するのだろう。

と帰り道、本にまつわることをいろいろ考えていたので、ここにつらつら。