ポーの話/いしいしんじ

ポーの話
勢いに乗って一気に読んでしまいました。書下ろし長編。あー。はふー。読み終えてためいき。いしいしんじものがたりワールドから帰ってくるのに、時差を感じる。現実感喪失。
今ではない時代、ここではないどこか。泥の中、うなぎ女から生まれたポーという少年の不思議なものがたり。「プラネタリウムのふたご」を読んだ方ならそのまま引き継いで納得いただけるだろう世界観。読んでない方にはどう説明しよう。寓話なんだ。いろんな人が出てきて、いろんなことが起こる。メリーゴーランドと呼ばれる女たらしと赤毛の妹。犬じじと、孫と子どもと名づけられた犬。鳩狂いの大女を女房に持つ埋め屋。海辺の町のひとびと。うみうし女。水かきを持ち、泳ぐのが何より達者な、でも何も知らなかったポーは、すこしずつ何かを知り、思うようになる。そして「つぐなう」ことを考えるようになる。たまに泣きそうになる。
ワタシの知るほかの作家とは立ち位置が違いすぎて、うまく説明できない「いしいしんじ」。まずは読書で異世界に行きたい方におすすめします。