Twelve Y.O./福井晴敏

Twelve Y.O. (講談社文庫)
ローレライの作者福井晴敏の実質的デビュー作。江戸川乱歩賞受賞。それなら納得、かな。自衛隊の存在意義、沖縄の米軍問題、世界の警察・米国と、骨抜きの日本、すべてを精算するため沖縄を犠牲にするのか?…そしてサイバーテロ、出生の秘密、二重三重の裏切り。扱っているテーマの大きさに比べて、どうしても人間が描き切れていない感がもどかしかったのですが、でも最初からこんなの書けてた人なのか。と思うとすごいかも。
デビュー作、を差し引くと、やはり東馬と古武を描き切れていない為に、この大計画の発起に説得力がないのだよなあ。護も弱い。夏生由梨とか、出てくる意味よくわからないもの。ただ、乱歩賞はこれでとったけれど、その前年候補にあがった「川の深さは」なる小説が、この「Twelve Y.O.」の前段になっているらしい。それを読めば違うのかな(これも出版されてるらしいです)。
まあでも東馬が浅倉良橘で、理沙がパウラ、護が折笠、平が田口か岩村か。と思うとローレライちっくです。井島が絹見?