ゆっくりさよならをとなえる/川上弘美

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)
エッセイ。なんだなんだ。川上弘美食わず嫌いだったのだろうか。いや食って嫌い、だったはずなんだけど。でも読むほど好きになっているかもしれない。とにかく本当にゆったりだ。最近読んでる女性作家だと、小川洋子も本当にゆったりなんだけど、あっちはもっと冷え冷えしていて、喪失感がそこはかとなく漂いつづけている空気で。川上節も、絶対的に体温は低そうなんだけど、そしてインドアなんだけど、もう少し日が射している感じ。部屋の中まで。
好きだったのはしょうがパンの話。あと、二勝三敗という話。「友達の友達の家」に遊びに行くのに訪ねた見知らぬ街土地とその家で、「これはうちの町が勝ってる」「これは負けだ」などと全く無意味な勝敗を決めながら過ごして(勝ってるのは「犬の質」とか負けてるのは「下駄が合う」とか)、最終的に二勝三敗。三敗で負け越しだけど、自分の町が好きだ、という。
次は何か川上小説を読もう。