「51C」家族を容れるハコの戦後と現在/鈴木成文・上野千鶴子・山本理顕
今年2月〜3月に行われたシンポをまとめた1冊。シンポで面白いと感じた雰囲気が結構そのままに編集されており。公営住宅標準設計・51Cと「nLDK」。戦後から現代に至るまでの集合住宅プランニングにおいてどんな変換や解釈がされてきたのかをそれぞれが語り、まとめ、対話する。
住宅が商品化されたことによって安易にnを増やす形で引き継がれてしまったnLDKの間取りと、1951年当時の社会に応える提案として作られた51cとはやはり別物であったはず…なのですがそれが繋がって語られるようになったのはどうしてなのか、を作り手の立場から、また社会学の立場から明らかにしていくという…対話は平行線を辿るのですが、この場がなければその立ち位置すらわからないままであっただろうと思うと、このシンポジウムが開催され、本になってよかったんじゃないかと。
上野さんはすごく弁が立つ人というイメージ。実際、鈴木さん山本さんの発言をちょっと都合良く曲解するというかすり替えていたりして、しかしそれをすごーくうまーく出来る人だなあ、と思う。それも才能か。