半落ち/横山秀夫
映画のCMの記憶が強く、主人公梶の顔は寺尾聰を思い浮かべながら読みました。でも雰囲気的に適役だと思います。
警察官が妻を殺した事件を、刑事、検察官、記者、弁護士、裁判官、刑務官…と彼を取り巻く関係者たちの一人称で一章ずつ綴っていく形式。真相は最後の最後まで明かされません。ぐんぐん引き込む力は先日読んだ「クライマーズ・ハイ」の方が強かったけれど、この本も最後まで読まずにはいられない力が。
で、結末。すべてが明かされて。正直、最初読んだときはちょっと拍子抜けしてしまって。納得はしたのだけど、それはそれほどのことなのだろうか、と。でももう一度後半を読み返してみたら涙が。2回目はすごく沁みました。一人称のそれぞれの人物の心情や、うっすらした伏線に隠された感情が見えたのかなあ。これは映画だったら号泣モノかもしれん。