カルチェ・ラタン/佐藤賢一

カルチェ・ラタン
16世紀パリ。大学街カルチェ・ラタンでの宗教絡み事件を、のちにパリ夜警隊長がその手で書き起こした回想録風小説。ザビエルやらカルヴァンやらルターやら出てきます。当時のカルチェ・ラタンの雰囲気はわかるかも。
しかし。一人称の「私」ドニ・クルパンくんがとにかく情けない男で。弱虫泣き虫ひとりよがりで。頭脳明晰冷血無比な元家庭教師・神学者のミシェルってのと絡んで、話はこのドニの成長記でもある…のだけど、でも。駄目でした。最後まで主人公に嫌悪感。けなげさより情けなさが目に付いて。かー。あと女性を描くのもあんまりうまくないような。
他読んでみるか迷う。ちなみにスズキさんのオススメタイトルは「双頭の鷲」か「二人のガスコン」だったのですが、たまたま両方本屋になかったのだよね。どうなのか佐藤賢一