2007-01-01から1年間の記事一覧

青空の卵/坂木司

作家名と同姓同名の僕が主人公、ひきこもりがちな友人が探偵役の、ジャンルとしては推理小説。もっと、こう、「安楽椅子探偵」モノかと思っていたら、そうでもなく。ひきこもり鳥井は、人付き合いが下手で、精神的にもとても弱く描かれてはいるけれど、意外…

上海ベイビー/衛慧 訳:桑島道夫

「たちまち発禁処分を受けた中国の大ベストセラー」「ポルノか新人類文学か?」などとコピーのついた帯付きで友達にお借りした。日本でのこの文庫の発売は2001年だし、この煽りやらカバーやらは時代錯誤感が少々。 ココという破天荒な小説家の女性が一人称で…

海の仙人/絲山秋子

絲山秋子さん二冊目。でもオフィシャルサイトの日記を知ってから、ちょくちょく見ていたので、勝手に何となく親近感。 「海の仙人」は短編よりの中編、くらいの薄さではあるのだけど(字も大きめの印刷だ)、読後感はなんだか大長編を読み終えたかのような感…

ザ・ベスト・オブ・J・G・バラード?/J・G・バラード 訳 星新蔵

SF読みたいよ、と言ってたら貸していただいた一冊。サンリオSF文庫!のJ・G・バラード短編集。確かにSFなんだけど、ちょっとずれるというか、SFだけで片付けにくい一冊でした。宇宙は出てこないしな。物語の肝となる設定はSFチックなのだけど、登場人物た…

太陽からの風/アーサー・C. クラーク 訳 山高昭、伊藤典夫

SF巨匠の短編集。いやー。面白かった。 短い中に皮肉の効いたものあり、冒険活劇ありで全編楽しめましたが、特に太陽ヨットの話など、SF的発想の新技術や新ルールが設定された上で展開される物語のわくわく感が良かった。最後の木星探索の話は、ドイルの短編…

マネーボール/マイケル・ルイス  訳 中山 宥

AMAZONに載ってた、出版社からの内容紹介抜粋。だいたいこんな本。 勝つためには一流の選手を集める、そのためには資金が必要、というのが、球界の常識。その常識をくつがえしたのが1997年に35歳でオークランド・アスレチックスのGMに就任したビリー・ビーン…

みずうみ/いしいしんじ

いしいしんじ新刊をやっと読み終える。3章立て。それぞれは微妙にリンクするのだけど、ほぼ別の話。いしい節全開の、ここではないどこかの、みずうみのある村の話である第1章。第2章はもう少し現実味が戻った街のタクシー運転手が主人公。そして第3章で…

輪違屋糸里/浅田次郎

久しぶりの浅田次郎。新撰組芹沢鴨、近藤勇、土方歳三…といったお馴染みの面々を、新撰組の浪士がお世話になっていた家々のおかみさんや、芹沢の愛人となった女性、そして島原の女達を通して通して描いている。 輪違屋というのは島原の置屋。糸里はそこの芸…

片想いさん −恋と本とごはんのABC/坂崎千春

ものすごく好き…というわけではないけど、その時々ではまるキャラクターというのがあって、ここ数年は間違いなくSuicaのペンギンがお気に入りなのでありますが、そのペンギンを描いているイラストレーター坂崎千春さんのエッセイ。テーマはタイトルそのまん…

幼年期の終わり/アーサー・C・クラーク 訳:福島正実

asin:4150103410 SFというと読んだな、というのは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」くらいで、あとは星新一のみ…スターウォーズですらまともに見たことない…のが今まででしたが、先日のJ.P.ホーガン以降、名作と呼ばれているものに関してはちょっと興味…

天国はまだ遠く/瀬尾まいこ

前々からちょっと気になっていた、現役国語教師という若い女性作家さん。気になっていた、程度だと文庫で読みたかったのだけど、全然出てないんだよな。これは昨秋に出ていたのをたまたま発見。うっすい文庫です。 まあ、ある意味、思ってた通り。平易でやわ…

深追い/横山秀夫

本屋で見つけて衝動買い。横山秀夫の文庫だー♪ということで。これまた警察小説・短編集。大興奮の「第三の時効」とはまた別で、「陰の季節」ほど裏方ばっかりでもなく、警察という組織のいろんな部署の人物が、三ツ鐘署という同じ署内でそれぞれ描かれる。 …

猫の神様/東良美季

東良さんのblogに出会ったのは一昨年くらいだったろうか。 http://jogjob.exblog.jp/ AVライター…だなんて、ご縁のないご商売の方でありますが、この方の文章を、これまた当時blogをよく読んでいた音楽ライター(評論家?)の能地さんが褒めてらしたんだよな…

グレート・ギャツビー/スコット・フィッツジェラルド 訳:村上春樹

感想保留中の本があるのに先に他の本について。 村上春樹訳のギャツビー。良かったです、これ。既知の翻訳版に対しての村上春樹の新訳というとこで言えば、ライ麦畑よりこっちのが良いなあ。合ってる。 他の人の訳したギャツビーを読んだのはたぶんもう10年…

4月入って働きだしてから本を読む手が止まっています。やれやれ。 以下は、ワタシのボスである教授が新4年生に必ず嫁…じゃない読めと薦めたケンチク本。これってワタシが読んでないってのはマズイかしら。と思いながら この中では読んでなかった芦原さんの…

ぽろぽろ読んではいるのだけど、記録をつけられていない。あとでまとめたいので忘れないうちに。 神様がくれた指/佐藤多佳子 ←しゃべれども…の人 真夜中のマーチ/奥田英朗 ←インザプールの人 荻窪ルースター物語/佐藤ヒロオ ←笑 隠れた秩序/芦原義信 ←何…

さらば深川―髪結い伊三次捕物余話/宇江佐真理

そしてシリーズ三作目。山場のひとつは不破との関係修復。潔い不破の態度にじーんと感動。そして「この先、何が起ころうと、それはわっちが決めたこと、後悔はしませんのさ」…と文吉姐さんのかっこよさがにじみ出る最後の一編がよかったです。 文吉の言動に…

紫紺のつばめ―髪結い伊三次捕物余話/宇江佐真理

髪結い伊三次ものの二冊目。話が面白く、人物も魅力的でよいです、このシリーズ。今回は大波乱あり、せつないのあり。八丁堀の同心不破との間に大きな亀裂が生じることに。幼なじみの死もあり、深川芸者の文吉ともうまくいかなくなるし、読みながら少々胸が…

99%の誘拐/岡嶋二人

岡嶋二人なんて読んだの何十年ぶりだろう…は大袈裟だけど、十何年ぶりではあるだろうなあ。ジャンルとしては推理小説。単行本初版は90年代初頭のようです。 ある誘拐事件の被害者であった男が病床で残した手記から物語は始まり、20数年後、その頃まだまだ僅…

内なる宇宙 上・下/ジェイムズ・P・ホーガン 訳:池央耿

そして三部作終了後の4冊目を読破。いやはや。このシリーズ、一作目をワタシがあまりに褒めていたので、父も一緒になって読んでいたのですが、曰く「面白いんだけど、どんどん荒唐無稽になって行くような」。 この4冊目は更に荒唐無稽ですよ。破綻はしてい…

街頭から見た新東京の裏面/夢野久作

関東大震災から1年ほどたった大正13(1924)年の東京について、当時新聞記者であった夢野久作が寄稿したものです。青空文庫にて拝読↓ http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/940_21952.html 論文の情報探しにネットで検索をかけいていたときに行き当…

底のない袋/青木玉

論文から無事解放されました。ここ数日、地に足着いてません…。 本屋でごそごそ買い込んだ中からまず読み終えたのはこれ。青木玉さんのエッセイ。母である幸田文も大好きな作家なのですが、その一人娘にあたる玉さんの文章もとても好んでおります。 年配の、…

あとすこし

あとすこしで博士論文提出であります。14日にだいたい終わり、19日にほぼ終わり、3月1日に完全終わりで3月20日が卒業式だー! 終わったら思う存分寝たり遊んだり本を読んだりします。(たぶん2月15日からゆるゆるです) 考えるだけでよだれが出そうです。(…

巨人たちの星/ジェイムズ・P・ホーガン 訳:池央耿

asin:4488663036 一気に三部作読破。しかしこのあと更に1冊続編があるらしい。まだ入手出来ていませんが。 三冊目では小説中の「現代」の地球人とガニメアン…テューリアンの…との交流が話の中心。これまでの二作ではあまり触れられていなかった地球の情勢の…

ガニメデの優しい巨人/ジェイムズ・P・ホーガン 訳:池央耿

asin:4488663028 年末に読んだ「星を継ぐもの」の続編なのですが。はまりました。ものすごく面白いです、このシリーズ。前作に引き続きヴィック・ハントを中心に物語が進むSF。 「星を継ぐもの」で判明した人類とルナリアンの謎は、やはりそれ以前のガニメア…

三省堂ポイントカード

本は三省堂で買った。購入時に「ポイントカードはお持ちですか?」とさも当然のように聞かれたので、「持ってないので、新しく作れますか?」と返したら、なぜだか慌てた表情で「でででも、5分くらいお時間いただくことになりますが、よろしいですかっ?」…

ジャージの二人/長嶋有

なんだかんだ言ってこの作家さん、文庫の新刊出るたびに買っているな。人待ち中に立ち寄った書店で、平積みになってた。背表紙のあらすじを見たら「北軽井沢の山荘」なんてあったので、そのままレジへ。東京から高速のって、碓井軽井沢インターで降りて…祖母…

メリーゴーランド/荻原浩

東京の会社辞めて、田舎にUターンして公務員になり、家族(妻、子二人)を持った30代半ばの男性が主人公。昔は演劇やったりもしていた。民間会社で過労死寸前の勤務をしてた。それが、今回、仕事で人気のないアミューズメントパークの再興に関わることになる…

アルゼンチンババア/よしもとばなな

映画化されている(される?された?)らしいですね。どこかで話題になってたのがちょっと記憶に残ってたので買ってみた。文庫。でも奈良美智氏の絵がカラーで掲載。ものすごーく薄い。ええと、80ページ。乗換駅の本屋で購入して、家までの30分くらいの電車…

あけましておめでとうございます

2006年は何冊読んだのか?とざっと数えてみると、どうも94〜5冊くらいか。100冊に届いてませんでした。惜しい。まあ後半失速はしょうがないかな。 今年もまた春先まではあまり読書耽溺時間は取れなさそうですが、こつこつあちこちつまみ食いで読み続けたいと…